従業員50人の義務 やらなければならない8つのこと

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労働安全衛生法では、「常時使用する労働者数」に応じて

すべきことが定められています。

「努力義務」のものまで含めると、かなり多くの内容となりますが、

ここでは、常時使用する労働者数が50人を超えた場合に

対応が「義務」となっている項目に絞って解説しました。

 

常時使用する労働者とは

正社員を始めとし、パート従業員も勤務時間数にかかわらず1人としてカウントします。

派遣社員も含まれ、派遣先・派遣元の双方で1名としてカウントします。

出向社員も派遣社員と同様にカウントします。

役員はカウントされませんが、従業員としての業務を

兼務している役員は1人としてカウントします。

 

常時使用する労働者が50人を超えたらすべきこと

衛生管理者の選任

以下の業種に当てはまる事業者の場合、第一種衛生管理者・衛生工学衛生管理者・医師等

の資格保持者から衛生管理者を選任する必要があります。

・林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
・製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

上記以外の業種の場合は、第二種衛生管理者の資格保持者からも選任が可能です。

 

また、選任が必要な人数が、使用する従業員数に応じて表の通りに

定められています。

衛生管理者は、第一種衛生管理者の資格保持者から選任する企業が一般的です。

第一種衛生管理者は国家資格で、合格率は30%前後と言われています。

受験に関する情報は、安全衛生技術試験協会のページを参照ください。

安全衛生技術試験協会のサイト

 

衛生管理者は週に1回、作業場の巡視をすることと定められています。

労働安全衛生規則第7条に規定)

 

衛生管理者は、選任する必要が出た日から14日以内に選任する必要があります。

 

安全管理者の選任

以下の業種の企業に当てはまる場合、安全管理者を選任する必要があります。

・林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
・製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業

 

なお、業種や従業員数によっては、安全管理者の業務を専任(通常の勤務時間を専ら

安全管理者の職務を行うために費やす者)とする必要があります。

詳しくは、厚生労働省のページを参照ください。

 

安全管理者は、「安全管理者選任時研修」を修了した方から

選任する必要があります。

安全管理者選任時研修は、厚生労働大臣が指定している研修で、

最寄りの労働基準監督署にて受講の申し込みをします(受講料は1万5千円程度)。

 

また、選任には資格要件もあり、以下のように定められています。

1.大学の理科系の課程を卒業し、その後2年以上産業安全の実務を経験した者
2.高等学校等の理科系の課程を卒業し、その後4年以上産業安全の実務を経験した者
3.その他厚生労働大臣が定める者
(理科系統以外の大学を卒業後4年以上、同高等学校を卒業後6年以上産業安全の実務を経験した者、7年以上産業安全の実務を経験した者等)

 

上記に記載のある「産業安全の実務」の敷居が高いと感じるかも知れません。

基発第601号(厚生労働省労働基準局長の通達のことです)では、

産業安全の実務について以下の通りに解説しています。

 

昭47.9.18 基発第601号の1通達(関連部分)

1,2(略)

3 第1号および第2号(現行第1号イ及びロ)の「産業安全の実務」とは、必ずしも安全関係専門の業務に限定する趣旨ではなく、生産ラインにおける管理業務を含めて差しつかえないものであること。
〔参照=別通達平1.2.28基発第89号〕
安全管理者の資格に係る産業安全の実務については、昭和47年9月18日付け基発第601号の1通達において示しているところであるが、(1)に掲げた7業種(*)については、実務経験として、荷、商品等物の取扱い、運搬等の作業における管理業務を含めて差し支えないものであること。
(*) 各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業及びゴルフ場

(平成元年2月28日 基発第89号)

 

現場管理としている方であれば問題ないと思われますが、

例えば、切れかかった蛍光灯を交換した経験がある程度でも、

「実務経験あり」として選任可能としている企業もあるようです。

私の会社でもその程度の経験の者を安全管理者に選任しています。

ただ、労働基準監督署に問い合わせたわけではないので、

心配な方は、現場監督といった立場の方を選任してください。

 

安全管理者も、衛生管理者と同じく、作業場の巡視をすることと定められていますが、

その頻度までは定められていません。

 

安全管理者は、選任する必要が出た日から14日以内に選任する必要があります。

産業医の選任

産業医の企業訪問を行っている医療機関と嘱託契約するのが一般的です。

契約料は医療機関によって変わります(筆者の会社では1回の訪問で5万円払っています)。

 

なお、従業員が3,001人以上の企業は産業医を2人選任する必要があり、

その他の条件によっては、産業医を専属とする必要もあります。

詳しくは、厚生労働省の案内を参照ください。

 

産業医は月に1回、企業の作業場を巡視する必要がありますが、

以下の情報を産業医へ提供すれば、巡視の頻度を2か月に1度と

することが出来ます。

1.衛生管理者が毎週行う作業場の巡視の結果

2.1か月の時間外労働が100時間を超えた労働者の氏名及びその労働内容

 

産業医は後述する「衛生委員会」への参加も必要です。

 

産業医は、選任する必要が出た日から14日以内に選任する必要があります。

 

衛生委員会の設置

常時使用する労働者が50人を超えた場合、衛生委員会を設置し、

毎月1回以上、会議を開催する必要がります。

 

なお、以下の業種に当てはまる企業は、安全委員会も設置する必要があります。

林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業

上記業種以外で、以下の業種に当てはまる企業で労働者が100人を超える場合も、

安全委員会を設置する必要があります。

製造業のうち上記以外の業種、運送業のうち上記以外の業種、
電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

 

衛生委員会と安全委員会は別々に設置する必要はなく、

安全衛生委員会として運営すれば問題ありません。

 

委員会における議事内容は従業員に周知し、重要なものに係る記録を作り、

3年間保存する必要があります。

毎回議事録を作成し、保管すれば問題ないでしょう。

 

定期健康診断結果報告書の提出

常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回健康診断を実施し、

その結果を「定期健康診断結果報告書」に記載し、労働基準監督署へ

提出する必要があります。

ただし、「特定業務」に従事する労働者に対しては、

6か月にごとに1回受診させる必要があります。

特定業務は、以下のような業務と記載されています。

多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所に置ける業務
多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ラジウム放射線、X線その他の有害放射線にさらされる業務
土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
異常気圧下における業務
さく岩機、鋲打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
重量物の取り扱い等重激な業務

ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
坑内における業務
深夜業を含む業務
水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭酸、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
病原体によって汚染のおそれが著しい業務
その他厚生労働大臣が定める業務

 

労働安全衛生規則第45条

 

また、気を付けていただいきたいのは、

定期健康診断の対象となる「常時雇用する労働者」が、

労働安全法で「常時雇用する労働者」が50人を

超えるかどうかカウントする場合と違っている

ということです。

パートなどの労働時間が短い労働者については、

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上の者

が健康診断の対象となります。

1日3時間だけのパート労働者は、

労働安全法で、雇用する人数にはカウントされますが、

健康診断受診の対象者にはなりません。

 

ストレスチェックの実施

常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回ストレスチェックを実施し、

その実施状況を労働基準監督署へ報告する必要があります。

 

ストレスチェックは調査票を用いて実施しますが、

調査内容は以下のように記載されています。

・職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
・当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
・職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

労働安全衛生規則 第52条の9より

 

また、ストレスチェックを実施するには、

「実施者」と「実施事務従事者」が必要です。

厚生労働省が公表している「ストレスチェック制度導入マニュアル

には、以下のように記載されています。

 

ストレスチェックの実施者

ストレスチェックを実施する者。医師、保健師、厚生労働大臣の 定める研修を受けた看護師・精神保健福祉士の中から選ぶ必要があ ります。外部委託も可能です。

ストレスチェックの実施事務従事者

実施者の補助をする者。質問票の回収、データ入力、結果送付な ど、個人情報を取り扱う業務を担当します。外部委託も可能です。

 

実施者は産業医、実施事務従事者は社内の衛生管理者が担うのが一般的でしょう。

 

筆者の会社では、産業医の契約をしている病院へストレスチェックの依頼をしています。

必要書類は病院が用意し、社内の衛生管理者が書類の従業員への配布・回収をし、

病院へ返送します。

病院側は結果報告書を会社へ提出し、会社が労基署へ報告書を提出するといった流れです。

 

休養室の設置

常時50人以上の労働者を使用する事業者及び、

常時30人以上の女性労働者を使用する事業者は

休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

と定められています。

(事務所衛生基準規則第 21 条、労働安全衛生規則第618条に記載)

 

各部屋には就寝用の布団またはベッドの備え付けが必要です。

 

障害者の雇用(従業員46人より必須)

障害者雇用率制度により、従業員数×2.2%の人数の

障害者を雇用する必要があります。

従業員数45.5人を超えると障害者1人をしなければならない

計算になりますので、46人となった時点で雇用の義務が発生します。

この雇用率は今後さらに0.1%上がる予定となっています。

 

従業員50人ではなく、46人を超えた時点で対応が必要ですので

注意ください。

 

私の会社は従業員が46人を超えていますが、

障害者の雇用はしておりません。

雇用率を達成していないと、月額5万円の罰金を

払う必要があるようですが、罰金の請求がきたことはありません。

 

実際に雇用率を達成している事業者は少ないのではないのでしょうか。

公的機関の障害者雇用率水増しが発覚したというのもあり、

民間企業にきびしく言えないのが現状でしょう。

 

 

以上、足りない所もあると思われますが、ご覧になった方のお役に少しでも立てれば幸いです。

本投稿は、随時内容を更新して行きたいと考えたおります。

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