今では経理歴20年となった私が、初心者だった当時に
損金について初めて理解できた解説を書きました。
経理経験がない営業や技術職の方にも理解できる内容で
書いてみましたので、「損金」について
興味のある方はご覧ください。
費用とは
ウィキペディアを見ると、以下のような定義となっています。
会計上に企業会計において、費用(expense)とは、経済的価値の減少のことをいう
意味がわかりにくいと思いますので、別の説明をします。
費用でまず思い浮かぶのは、消耗品の購入や、給与の支払い、材料の仕入れなどの、
お金の出費を伴うものでしょう。
そして、費用にはお金の出費を伴わないものがあります。
減価償却費や賞与引当金といったものになるのですが、
お金の出費ではなく、負債のストックとして費用を計上する
イメージで考えてもらえたらと思います。
経理知識のない方にとっては、減価償却費や引当金の理解は
難しいかも知れませんので、ここでは
費用=お金を払って何かを購入すること
収入-費用=利益
企業会計では「貸借対照表」と「損益計算書」の財務諸表を
作成することで、会社の経営状態を把握します。
イメージとしては、
貸借対照表:お金等の残高を表すもの
損益計算書:お金等の動きを表すもの
といった感じです。
そして、損益計算書では、
収入-費用=利益
といった計算によって、会社の「利益」を計算します。
「収入(収益と呼んだりもします)」は、会社の売上と
考えて差し支えないです。
計算例を書いてみます。
売上:500円
消耗品費:200円
交際費:100円
上記の動きが発生した会社があったとしますと、
収入=500円(売上)
費用=300円(消耗品費200円+交際費100円)
となりますので、
収入-費用=500円-300円=200円=利益
といった計算になります。
この会社は200円の儲けがあったイメージです。
儲けには税金がかかってくるのですが、
税金はこの「利益」をもとに計算し、
その計算上で、「損金」等の用語が出てきます。
損金とは
ウィキペディアでは以下のように書かれています。
法人税法第22条第3項において定められた法人税法において課税所得を導出するための基礎となる法人税法上の固有の概念である
意味がわからないと思いますので、
以下で簡単に説明します。
「損金」=「費用の一部」
とイメージしてください。
「費用」の中には、
「損金」になるものと
「損金」にならないもの
があります。
消耗品費、給与、材料費といったものは「損金」になりますが、
交際費、引当金は「損金」になりません。
次の項目で、「損金」を使った計算例を書きます。
益金-損金=課税所得
の項目で、以下の動きがあった会社の利益を計算しました。
売上:500円
消耗品費:200円
交際費:100円
収入-費用=500円-300円=200円=利益
という計算になりました。
税金(法人税等)は、利益をもとにして計算されます。
税率は約30%ですが、
利益×税率=200円×30%という計算にはなりません。
益金-損金=所得課税で計算される、この「所得課税」に
税率を掛けることで税金が計算されます。
益金=収入の一部
損金=費用の一部
です。
要するに
収入の中には「益金になるもの」と「益金にならないもの」
があり、
費用の中には「損金になるもの」と「損金にならないもの」
があります。
先ほどの、
収入-費用=利益の例の中では、
売上は「益金」
消耗品費は「損金」
となりますが、
交際費は「損金」とはなりません。
※平成26年の税制改正で、交際費の中の飲食費については、
50%を損金算入することが可能になりましたが、
説明の簡略化の為、ここでは全額が損金とならない計算としています。
よって、
課税所得=益金-損金=売上高-消耗品費-交際費
=500円-200円-100円=300円
という計算になります。
利益=200円に対し、課税所得=300円
となり、
交際費がマイナス金額から除外された分、
課税所得の方が100円多くなりました。
このように、課税所得を計算する際に、
交際費がマイナス項目から除外されることを
交際費の「損金不算入」と言います。
税金=課税所得×30%=300円×30%=90円
となります。
税金=利益×30%=200円×30%=60円
という計算とはならないのです。
交際費は主に本業から離れた外部への接待である為、
「本業以外で贅沢にお金を消費している暇があったら、
本業にお金を回しなさい。
それでも交際費を使用するのであれば、
税金を減らす計算には入れさせないぞ!」
といった国税の考えたがある為です。
今回の例には出ていませんが、
収入になるが、益金にならないものもあります。
この場合、利益より課税所得が少なくなり、
結果として税金が少なくなる結果になります。
損金経理とは
費用の一部が損金になると書きましたが、
条件が1つあります。
それは、
費用として計上して財務諸表に反映されている
ということです。
この「費用として計上する」ことを
「損金経理する」と呼びます。
損金のことなど知らないで、伝票をきっていても
結果として損金経理されていることになります。
最後に
「費用」と「損金」の違いを
できるだけ簡単に説明してみましたが、
どうしても理解できない説明がありましたら
メールフォームにてご連絡いただけると幸いです。
その際は、説明をさせていただくとともに
本記事をより分かりやすく修正させていただきます^^
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